
あなたは彼に出会い、彼を知り、彼を想う。
そこに存在しない“誰かの想い”が見える青年・未山(坂口健太郎)。あるときは目の前にいる相手が故郷に残してきた家族、またあるときは心の内に仕舞った運命の人――。そうした“つながり”を感じられる彼はその不思議な力を他者のために使い、身体の不調に悩む人や、トラウマを抱えた人を癒やしながら日々を歩んできた。
そんな未山はあるとき自然豊かな村を訪れ、看護師の詩織(市川実日子)と出会い恋仲に。いまでは詩織の娘・美々(磯村アメリ)を加えた3人で穏やかに暮らしている。牧場の仕事を手伝ったり、村民の困りごとや悩みを聞いたり――。慎ましやかな生活を送る未山はある日、これまで体感したものとは異質な強い想いを感じ始める。
その主は、高校時代の後輩で、遠く離れた東京で活躍するミュージシャン・草鹿(浅香航大)。彼はいったい、何を伝えようとしているのか? 真意を確かめるためライブ会場に足を運んだ未山に、重い口を開いた草鹿が語る“想いの理由”。それは、未山と恋人・莉子(齋藤飛鳥)が過去に遭遇した事件の顛末だった。驚きを隠せない未山に、草鹿はこう告げる。「これ、あんたがほったらかしにしていった過去だよね」と。彼の視線の先にいたのは、あの日以来一度も会うことがなかった莉子だった……。彼女の存在によって紐解かれていく、未山の秘密。彼は一体、どこから来た何者なのか?